【レゲエ】DeeJayクラッシュのルールや特徴を解説!Combatとの違いは?

最近ではヒップホップのMCバトルが盛り上がりを見せており、レゲエDeeJayがMCバトルに出場することも多くなってきていますが、実はレゲエにもDeeJayクラッシュというバトルイベントがあります。

 

2人のMC(DeeJay)が一対一でステージに立ち、音の上で殺し合うのはMCバトルと同じですが、DeeJayクラッシュにはMCバトルとは違う独自の特徴やルールがあり、MCバトルとは違うおもしろさもあります。

そこで今回は、最近MCバトルを見ていてレゲエのDeeJayクラッシュにも興味が出てきたという人に向けて、DeeJayクラッシュのルールや特徴を徹底解説していきます。

 

目次

DeeJayクラッシュとは

DeeJay Clash(クラッシュ)とは、レゲエの本場ジャマイカ発祥のバトルイベント

ステージ上で2人のレゲエDeeJayが一対一で戦います。

 

戦い方は自身の持ち歌や仕込み(ネタ)がベースとなり、対戦相手用にリリックを変更(カスタマイズ)したり、フリースタイル(即興)を組み合わせて攻撃することもあります。

 

リディム(オケ)はバンドの生演奏が本格的なスタイルで、DeeJayがバンドに指示を出す(バンドを操る)ことで音楽に変化を出すことができ、リズムにメリハリをつけたり、伝えたい言葉を強調させることができます。

バンド操作によって音楽性を強く表現することができたり戦い方の幅が広がるので、DeeJayクラッシュにおいてバンド操作は非常に重要なスキルになります。

 

COMBAT(コンバット)とは?

NG HEAD vs JUMBO MAATCH

レゲエのクラッシュと聞くと「COMBAT」を連想する人が多いと思いますが、
「COMBAT」とは、DeeJayクラッシュのイベント(オーガナイザー)の一つです。

正式名称は「COMBAT DEEJAY CLASH」
MCバトルで例えると、”戦極”や”凱旋”、”真ADRENALINE”と同じようなものです。

 

当初は「NG HEAD vs JUMBO MAATCH」のDeeJayクラッシュのタイトルとして名付けられた「COMBAT」ですが、第2回、3回と開催されるたびにCOMBAT2、3とタイトル付けられるようになり、様々なDeeJayが出場するようになりました。

 

ジャマイカのクラッシュはヤバい?

Vybz Kartel vs Mavado

本場ジャマイカのDeeJayクラッシュでは、クオリティの低い仕込みやしょうもないDisでフラップしている(滑る)と、お客さんから容赦なく野次や罵声が飛んできます。ひどい場合はステージ上に瓶が投げ込まれるようなこともあるようです。

有名な話として、「Vybz Kartel vs Mavado」のクラッシュでは、どちらも引かない激しい戦いとなり、後日住人をも巻き込むほどの地域間抗争に発展し、ギャングのボスが両者を和解させたとの話もあります。

 

DeeJayクラッシュのルール

DeeJayクラッシュはイベントにもよりますが、マッチメイク方式が中心。制限時間は決まっていますが、他に明確なルールは決まっておらず、時間内であれば基本的に何でもありのバトルです。

DeeJayクラッシュのルール・基本的な流れ
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マッチメイクと日程が決まる

DeeJayクラッシュはイベントにもよりますが、
基本的にオーガナイザー(主催側)のオファーによってマッチメイクが決まります。

  1. オーガナイザーによってクラッシュの日程とイベント内容が決まる。
  2. オーガナイザーがアーティスト(DeeJay)にオファーを出す。
  3. アーティストがオファーを受けてマッチメイクが成立する。

マッチメイクや日程などのイベント詳細が確定したら、各メディアやSNSにフライヤー画像が投稿され、私たち聴衆に情報が届きます。

 

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マッチメイクが決定した瞬間から戦いが始まる

DeeJayクラッシュでは、イベント当日だけの戦いではなく、お互いの対戦相手(マッチメイク)が決定した瞬間からバチバチの戦いが始まります。両者がイベント当日までに他のイベントやライブでお互いを牽制しあったり、相手をDisする曲(ビーフ)を出し合ったりして火花を散らし合います。

 

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DeeJayクラッシュ当日

イベント当日、いよいよDeeJayクラッシュが始まります。

DeeJayクラッシュのイベントにもよりますが、基本的に何組かのマッチメイクが組まれている場合が多いので、順番に対戦が始まっていきます。

  • 制限時間以外にルールは特にありません。
  • それぞれがマイク1本でバンドの音楽上で戦います。
  • 先攻・後攻も特に決まっておらず、最初は司会もいません。

 

試合の流れ

  1. ステージ上はバンドのみから始まり、演奏が始まる
  2. 片方のDeeJayが雰囲気を見てステージに登場し、持ち歌や仕込みをお客さんに披露
  3. そして相手のDeeJayも流れを見てステージに登場し対戦が始まる
  4. 制限時間になると司会が中断させて終了する

 

試合前からバチバチのビーフ

DeeJayクラッシュは、イベント当日だけの戦いでありません。

対戦相手(マッチメイク)が決定した瞬間から、お互いが相手をDisする曲(ビーフ)を出し合ったり、イベント当日までに他のイベントやライブでお互いを牽制しあったりして、バチバチに火花を散らし合います。

普段から仲のいいDeeJay同士であっても、対戦が決定した瞬間から気持ちが戦闘モードに切り替わります。これは相手に怨みがあるからとかではなく、レゲエの文化でありエンターテイメントとして盛り上げるためでもあります。

 

ヒプラガ

マッチメイクが決定したら、両者の行動をSNSなどで随時チェックしてみてください。最近ではYoutubeに曲を投稿することが多いです。

関連:【COMBAT5】DeeJay Clashの前哨戦まとめ!試合前からバチバチのビーフ

 

先攻・後攻は決めない?

MCバトルと違い、DeeJayクラッシュでは先攻・後攻は決めません。

 

試合開始の合図も特になく、ステージ上でバンド演奏が開始されると闘いが始まります。

最初に片方のDeeJayが雰囲気を見てステージに登場し、持ち歌や仕込みをお客さんに披露し現場を盛り上げます。(この時点では相手はまだ出てきてきていません。)

その後、相手のDeeJayもその場の流れや雰囲気を見て出てきます。

そしてノンストップの殺し合いが始まります。

 

制限時間内はノンストップの殺し合い

DeeJayクラッシュはイベントにもよりますが、基本的に制限時間が設けられています。

イベントによっては30分以上の戦いになることも。
COMBATでは15分間のバトル。

 

時間内はバンド演奏のリディム上で自由にバンドを操りながらお互いをディスり合い、現場を盛り上げます。クラッシュ中はバンドの判断により何度かリディムが変更されます。

ただし制限時間が設けられている場合であっても、片方が圧倒的であったり、観客が暴動に発展しそうな時などは司会がバトルを中断させることもあります。

 

バンド操作はなんでもあり!

DeeJayクラッシュではバンド操作はなんでもありです。

バンド操作はDeeJayが自分のバース中にバンドに指示を出すことで、演奏のリズムや音の大きさに変化をつけます。バンドへの指示は言葉で合図したり、手の仕草だけで合図を送ることもあります。

DeeJayクラッシュでよく使われるバンド操作
  • ワンドロップ(One Drop)
  • ミックス(Mix)
  • ロウ(Low)、レベル(Lebel)
  • プロップ(Pull Up)、イーザオフ(Ease Off)
  • 白玉(全音符、二分音符)

 

最近ではMCバトルでも”ワンドロップ“などの簡単なバンド操作はできる大会もありますが、DeeJayクラッシュでは小節やターンも決まっていないので、より自由度が高く多くのバンド操作が使えます。

関連:【MCバトル】バンドの操り方を解説!ワンドロップ以外の指示、合図の種類も比較

 

勝敗はつけない?

MCバトルとは違い、基本的にDeeJayクラッシュでは勝敗を決めません。

イベントによっては勝敗を決めるものもありますが、DeeJayクラッシュはプロセスを楽しむものであり、イベント終了後に「どっちが勝った?」「俺はこっちが勝ったと思う」とクラッシュを観た者同士で話題にするのが本場ジャマイカ流です。

 

MCバトルとの違い

最近ではヒップホップのMCバトル(ラップバトル)が盛り上がりを見せています。

ヒップホップのMCバトルとレゲエのDeeJayクラッシュは、基本的にどちらも相手をディスり合う一対一の戦いですが、ルールや特徴に様々な違いがあります。

DeeJayクラッシュとMCバトルの基本的な違い
 DeeJayクラッシュMCバトル
ジャンルレゲエヒップホップ
イベント形式マッチメイクが基本トーナメントが基本
バトルスタイル持ち歌、仕込み(ネタ)即興、ラップ
時間時間制(分)小節&ターン制
音楽バンド演奏(リディム)バックDJ(ビート)
先攻・後攻決めない決める
勝敗決めない決める
DeeJayクラッシュとMCバトルの基本的な違い

 

MCバトルの細かいルールや特徴については下記で徹底解説しました。

 

ラッパーがDeeJayクラッシュに出るのは無理?

最近ではレゲエDeeJayがヒップホップのMCバトルに出場し活躍しています。

では逆にヒップホップのラッパーがレゲエのDeeJayクラッシュに出場して戦えるのではないかと考える人もいるかもしれませんが、はっきり言うとラッパーがDeeJayクラッシュに出ても戦えないでしょう。

 

DeeJayクラッシュでは持ち歌の音源やバンド操作のスキルが勝敗を分けます。つまり現場をボスらせる(盛り上げる)音楽性やライブ力が最も重要なスキルになります。

ヒップホップのMCバトルでは、相手の言葉に対する即興のアンサー力が最も重要なスキルになりますが、DeeJayクラッシュではバンド操作が必要な上、自分の攻撃ターンも長いので、即興で単調なラップをしているだけでは現場はフラップ(滑る)します。

 

過去のCOMBAT

過去に開催されたCOMBATとマッチメイクは以下の通りです。

COMBAT(2018.3.31)
  • NG HEAD vs JUMBO MAATCH
アーティスト:NG HEAD, アーティスト:JUMBO MAATCH
COMBAT2(2019.1.12)
  • CHEHON vs RUEED
アーティスト:CHEHON, アーティスト:RUEED
COMBAT3(2020.2.28)
  1. CHEHON vs BOXER KID
  2. NATURAL WEAPON vs HISATOMI
  3. POWER WAVE vs SHUN
COMBAT4(2022.7.16)
  1. CHEHON vs NG HEAD
  2. ARM STRONG vs CORN HEAD
  3. POWER WAVE vs NATURAL WEAPON
  4. ZERO vs AICHIN
COMBAT5(2023.4.2)
  1. NG HEAD vs JUMBO MAATCH
  2. 寿君 vs ARM STRONG
  3. KENTY GROSS vs AICHIN
  4. KYO虎 vs SHUN
  5. 晴輝 vs PEQUU

 

DeeJayクラッシュはどこで見れるの?

MCバトルとは違いDeeJayクラッシュは開催頻度が少なく、配信もあまりされません。

 

今のところ配信があるのはCOMBATくらいです。

COMBATはRED HOT TVという動画配信サービスでPPVの有料配信により見ることができます。シリーズによってはABEMAで配信されたこともありました。

また、COMBAT1と2はDVDでも見ることが可能です。

アーティスト:NG HEAD, アーティスト:JUMBO MAATCH
アーティスト:CHEHON, アーティスト:RUEED

 

まとめ

今回はレゲエのイベントであるDeeJayクラッシュの特徴やルールを解説しました。

MCバトルと違い配信が少ないのであまり目にする機会がないと思いますが、DeeJayクラッシュではMCバトル以上に熱くバチバチの戦いが繰り広げられています。

マッチメイクが決まった瞬間から戦いが始まり、イベント当日までにもお互いが曲を出し合って攻撃したり、当日用の仕込みを考えたりする必要もあるので、DeeJayが一試合に賭ける思いもかなり高いです。

だからこそクオリティの高い最高の戦いが実現し、戦いが終わった後はお互いが相手を称え合います。

 

まだMCバトルほど人気も知名度も高くありませんが、もっとDeeJayクラッシュのイベントも開催され、レゲエの人気も上がっていけば嬉しいですね。

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気になるバトルがあればぜひチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

ヒプラガのアバター ヒプラガ ライター/ブロガー

大阪出身のブロガー。小学生の頃にレゲエにハマり、レゲエの音楽を20年以上聴いています。レゲエDeeJayがMCバトルに出場したのをきっかけに、ヒップホップも聴くようになりました。
ヒップホップやレゲエの音楽・文化をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、ヒップホップやレゲエに関する情報を発信しています。

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