凱旋MCバトルとは?大会の特徴やルール、主催者の怨念JAPについて解説

  • 凱旋MC BATTLEはどんなMCバトル?(特徴やルール)
  • オーガナイザー(司会)の「怨念JAP」とは何者?
  • おすすめの大会やバトルを知りたい!

「凱旋MC battle」は日本を代表するMCバトルの大会のひとつ。2017年から始まった比較的まだ新しい大会ですが、もっとも成長スピードが速く勢いのあるMCバトルです。

この記事では、凱旋MCバトルの特徴やルール、主催者について徹底解説します。歴代の優勝者やおすすめの大会まで解説しているので、MCバトルが好きな人はぜひチェックしてください。

記事を読めば、凱旋MCバトルの魅力がより深くわかるので、今後さらにMCバトル観戦を楽しめるようになります。

目次

凱旋MCバトルとは

「凱旋MC Battle(がいせんMCバトル)」とは、日本で開催されるMCバトルのイベント(大会)のひとつです。

2017年に立ち上がったMCバトルで、他の大会に比べるとまだまだ歴史が浅く若い大会になりますが、もっとも成長スピードが速く、他の大会と同じレベルかそれ以上の規模で開催されています。

主催者(司会)は「怨念JAP」

MC名怨念JAP
生年月日1996年9月5日
出身長野県
怨念JAPのプロフィール

凱旋MC BATTLEのオーガナイザーはラッパーの怨念JAP(おんねんジャップ)です。高身長でスタイルが良く、顔立ちの整った好青年な見た目が特徴です。

21歳という若さで凱旋MCバトルを立ち上げ、オーガナイザー(主催者)としてイベントの企画から出場者のブッキングまでを行い、自身で大会の司会もつとめます。

照明や音響、映像などの演出から会場設営の打ち合わせなどにもすべて顔を出し、イベントを盛り上げるために全力で取り組んでいます。

 

怨念JAPは4つ年上の姉の影響でヒップホップが好きになり、一番好きなラッパーは「漢 a.k.a. GAMI」とのことです。格闘技が好きということもあり、格闘技に似ているMCバトルも大好きだったとのこと。

高校を卒業してからはすぐに上京し、自身もラッパーとしてさまざまなMCバトルに出場していました。

凱旋MCバトルの成り立ち

MCバトルにプレイヤーとして参加していた怨念JAPですが、ある日「戦極MC BATTLE」のオーガナイザーであるMC正社員さんから「イベント手伝ってくれないか」と頼まれます。自身もMCバトルのイベントをやりたいと考えていた怨念JAPは、MCバトルの裏側や仕組みを知りたいという思いから、二つ返事で手伝うことにします。

 

スタッフとして多くのMCバトルの裏方や司会までつとめるようになり、運営の知識やノウハウを取得。そして21歳のときに「凱旋MC Battle」を立ち上げます。最初は赤字続きで、最大200万円の借金があったという怨念JAPですが、試行錯誤を繰り返し、改善していきます。

2022年(25歳)には、MCバトルの会場としては過去最大級の「さいたまスーパーアリーナ」での大会を開催し、大成功を収めます。わずか5年足らずで、MCバトルを3万人規模の会場で開催するほどに成長させました。

 

その後もコンスタントにMCバトルを開催し、さまざまなイベントや新しい企画を実現させています。

凱旋MCバトルの会場

凱旋MCバトルが行われる会場は、大会の趣旨や規模によってさまざまです。過去に開催された主な会場は以下のとおりです。

  • 全国のZeppホール
  • 豊洲PIT、仙台PIT
  • なんばHatch
  • CLUB CITTA’
  • Spotify O-EAST
  • SOUND MUSEUM VISION
  • ぴあアリーナMM
  • さいたまスーパーアリーナー
  • 東京ガーデンシアター

基本的に他の大会と同様に、全国の「Zeppホール」や「豊洲PIT」などの収容客人数1,000〜3,000人の中規模のクラブやライブハウスが多いですが、年に1度くらいに「ぴあアリーナ」や「東京ガーデンシアター」「さいたまスーパーアリーナ」といった1万人規模の大型会場(デカ箱)で開催されることもあります。

関連:MCバトルの会場一覧と特徴を解説!初心者はどこで見るのがおすすめ?

怨念JAPのさまざまな挑戦

凱旋MCバトルはまだ若い大会ですが、MCバトルをただ開催するだけでなく、お客さんや視聴者を楽しませるための様々な取り組みを行っています。怨念JAPは大会ごとにMCバトルのコンセプトやルールを少し変更したり、常に新しいことに挑戦したりして、ヘッズを楽しませてきました。

凱旋MCバトルがこれまでに、MCバトルを盛り上げるために取り組んできた内容は以下のとおりです。

  • 東西選抜
  • バトルツアー
  • デカ箱への挑戦

東西選抜

Instagramより引用

凱旋MCバトルは独自のアイデアとして「東日本」と「西日本」のそれぞれの出身者を同じ人数ずつ選抜し、1回戦で戦い合う形式の「東西選抜」を導入しました。

MCたちも東西それぞれの地域を背負ってのバトルになるため、1回戦は敗けられないバトルになります。見る側もやはり自分たちの地域のMCに勝ってほしいという気持ちが強くなり、いつもとは違った視点でバトルが観られます。

「凱旋MC Battle 東西選抜 夏ノ陣2020」のように大会名に「〜ノ陣」とつくのが特徴です。

 

東西選抜は2020年を最後にしばらく開催されていませんでしたが、2024年に「凱旋MC battle東西選抜春ノ陣2024」が久しぶりに開催され、盛り上がりを見せました。

 

バトルツアー

凱旋MCバトルは、短期間(1ヶ月程度)の間にMCバトルを各地で開催するというバトルツアーを行いました。

過去には『西日本ZEPP TOUR』や『PIT TOUR』、『NORTH JAPAN TOUR』などを行い、全国各地でMCバトルの大会を開催。それぞれの地域にゆかりのあるMCや出身者を多く集めた大会になり、ふだんなかなかMCバトルを観に行けない地方の人にも嬉しい配慮でしたね。

  • 『西日本ZEPP TOUR』:横浜・名古屋・福岡・大阪の各Zeppホールで開催
  • 『PIT TOUR』:豊洲PIT・仙台PITで開催
  • 『NORTH JAPAN TOUR』:札幌・仙台で開催

 

デカ箱への挑戦

凱旋MCバトルは基本的に中規模のクラブやライブハウス(収容客人数1,000〜3,000人)で開催されることが多いですが、過去には『ぴあアリーナ』や『東京ガーデンシアター』『さいたまスーパーアリーナ』などの、デカ箱と呼ばれる1万人規模の大型会場でもMCバトルを開催したことがあります。

大会名会場
凱旋MC Batlle SPECIALアリーナの陣ぴあアリーナMM
凱旋MC Battle inさいたまスーパーアリーナさいたまスーパーアリーナ
凱旋MC Battle Special 2023東京ガーデンシアター
デカ箱で開催された凱旋MCバトル

大型会場での開催はリスクも大きいですが、MCバトルを盛り上げるために積極的に新しいことに挑戦し、大成功を収めました。

最近では『日本武道館』や『両国国技館』などの大型会場でのMCバトルも増えてきましたが、アリーナレベルでMCバトルを開催したのは凱旋MCバトルが初めてです。

デカ箱での開催時には、ふだんMCバトルになかなか出ないような「T-Pablow」や「RYKEY DADDY DIRTY」といった音源やライブで活躍するラッパーも出場し、大きな話題を呼びました。

 

凱旋MCバトルの特徴

Instagramより引用

MCバトルは各オーガナイザー(主催者)や大会によって異なる特徴があります。MCバトルを盛り上げるためにさまざまな挑戦を続ける凱旋MCバトルですが、他にも多くの魅力や特徴があります。

若手・新世代の発掘に力をいれている

凱旋MCバトルは、若手や新世代のMCの発掘に力を入れています。

『THE GIANT KILLING(ジャイアントキリング)』という大会(通称ジャイキリ)では、ふだんからよく出場している「強者MC」と、まだ知名度が低い若手の「新世代MC」がそれぞれ16名ずつ選抜され、1回戦で対戦し合うという形式でした。

また、2024年には「凱旋MC Battle 夏ノ陣U-27」という27歳以下の大会も開催されます。

最近では有名なMCばかりが出場し、メンバーが固定化されてきている中で「新たな若手や新世代のMCにスポットを当てる場を作りたい」という怨念JAPの想いから始まりました。怨念JAP自身もまだかなり若いということもあり、これからのヒップホップ界を担うラッパーを後押しします。

演出へのこだわり

凱旋MCバトルは舞台演出にもこだわっており、クオリティが非常に高いです。

怨念JAP自身も、会場設営からステージの照明、音響、ビジョンに映し出される映像など、すべての打ち合わせに顔を出し、少しでもお客さんを楽しませるために全力で携わっています。

大型会場で開催されるような大会では、より一層豪華な演出が楽しめます。動画のカメラワークにもこだわっており映像もとても綺麗です。

 

MCバトルを他の大会と差別化するために、怨念JAPはカッコいい演出にこだわりました。単純なようですが、妥協せずに徹底的にこだわったことが「凱旋MC Battle」を短期間で成長させた最大の要因でしょう。

凱旋MCバトルのルール

凱旋MCバトルのルールは基本的に他の大会とベースは同じです。

基本的なルール

「凱旋MC Battle」の基本的なルールは以下のとおりです。

  • 小節数とターン数
    • 1・2回戦(ベスト8まで):「8小節×3ターン
    • 準決勝・決勝:「8小節×4ターン」or「16小節×2ターン」の選択制になる場合がある
  • ビート
    • 1・2回戦(ベスト8まで):2人以上のDJから交代で流される
    • 準決勝・決勝:複数のビートから選択できる場合がある
  • 勝敗判定
    • 観客による判定が中心
    • 審査員判定が採用された大会もある

勝敗は観客判定がメイン

「凱旋MC Battle」の勝敗判定は、基本的に「観客判定」がメインです。バトル終了後に司会(怨念JAP)がそれぞれのMCの名前を言い、声援が大きかったMCが勝利となります。同じくらいの場合は延長に進みます。

ただし、大型会場で開催される大会は審査員による判定の場合もあります。5人の審査員が先攻/後攻の札を持ち、バトル終了後に勝ったと思うMCに札を挙げます。

「SPECIALアリーナの陣」や「さいたまスーパーアリーナ」では、審査員によるジャッジが採用されました。

歴代の大会と結果まとめ

凱旋MCバトルの歴代大会の結果は以下のとおりです。

スクロールできます
イベント名優勝者日程
東西選抜 2018K-razy​​
(MAKA)
2018/6/24
東西選抜 春ノ陣2019CIMA​​
(MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻)
2019/4/4
東西選抜 夏ノ陣2019Authority​​
(U-mallow)
2019/7/31
東西選抜 秋ノ陣2019ライマーズ​​2019/10/20
東西選抜 冬ノ陣2020呂布カルマ
(MU-TON)​​
2020/1/19
東西選抜 夏ノ陣2020MU-TON​​
(SIMON JAP)
2020/7/11
東西選抜 秋ノ陣2020
(3on3)
真ADRENALINE​​
(輪入道、SIMON JAP、真ACE)
2020/10/9
凱旋×AbemaRAWAXXX​​
(Fuma no KTR)
2020/12/12
SPECIALアリーナの陣輪入道​​
(JUMBO MAATCH)
2021/2/23
西日本ZEPP TOUR 横浜S-kaine​​
(MU-TON)
2021/6/21
西日本ZEPP TOUR 名古屋ID​​
(輪入道)
2021/7/4
西日本ZEPP TOUR 福岡SKRYU
(S-kaine)​​
2021/7/18
西日本ZEPP TOUR 大阪SAM​​
(Authority)
2021/7/24
戦極vs凱旋 MCBATTLE 2022 夏ノ章呂布000カルマ
(SAM)
2021/8/14
PIT TOUR 仙台呂布000カルマ
(GIL)​​
2021/12/12
PIT TOUR 豊洲SAM​​
(CIMA)
2021/12/19
戦極vs凱旋 MCBATTLE 2022 冬の章ふぁんく
(ACE)
2022/2/12
春のMC BATTLE三連祭 – 凱旋輪入道
(Fuma no KTR)​​
2022/3/25
さいたまスーパーアリーナT-Pablow​​
(SIMON JAP)
2022/5/15
戦極vs凱旋 MC BATTLE LAST VISIONDOTAMA
(Fuma no KTR)
2022/7/17
秋ノ陣2022 (3on3)伝説建設​​
(CIMA、MOL53、SILENT KILLA JOINT)
2022/11/13
NORTH JAPAN TOUR 2023 in 北海道呂布カルマ​​
(脱走)
2023/2/5
NORTH JAPAN TOUR 2023 in 仙台句潤​​
(GIL)
2023/2/19
THE GIANT KILLINGがーどまん
(輪入道)​​
2023/4/29
大阪ノ陣2023がーどまん
(Fuma no KTR)​​
2023/5/28
Special 2023DOTAMA​​
(NAIKA MC)
2023/8/27
凱旋MC Battle 冬ノ陣2023
– BATTLE SUMMIT Zepp Tour
MOL53
(RAY)
2023/12/10
凱旋 MC BATTLE
– The Giant Killing 2
S-kaine
(輪入道)
2024/3/16
凱旋MC battle東西選抜春ノ陣2024T-TANGG
(知葉瑠)
2024/5/6
凱旋MC Battle 夏ノ陣U-27龍鬼
(ミメイ)
2024/8/25
凱旋MC Battle – 九州 冬ノ陣2024 –ミメイ
(がーどまん)
2024/11/16
凱旋MC Battleの歴代優勝者

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凱旋のおすすめバトル

凱旋MCバトルでは過去に多くのベストバウトが生まれました。いくつかのベストバウトをご紹介します。

T-TANGG vs 知葉瑠 / 凱旋MC battle 東西選抜春ノ陣 at Zepp難波

【決勝戦】T-TANGG vs 知葉瑠 / 凱旋MC battle 東西選抜春ノ陣 at Zepp難波 | 【全試合ABEMAで配信中】

2024年に開催された「凱旋MC battle 東西選抜春ノ陣 at Zepp難波」でのT-TANGG vs 知葉瑠の決勝戦。「東ノ選抜」として出場したT-TANGGと「西ノ選抜」として出場した知葉瑠のバトルです。

知葉瑠はこの時はなんと15歳(中3)で、NERVEのリザーバーとして凱旋MCバトルへ初出場します。15歳ながらかなりのハイスキルでNAIKA MCやID、CIMA、MCニガリといった強者を次々に倒し、ダークホースとして決勝まで進みました。

決勝では延長の末、惜しくもT-TANGGに敗れましたが、かなり爪痕を残したのではないでしょうか。

 

RAY vs Fuma no KTR / 凱旋MC battle 冬ノ陣2023 at Zepp Fukuoka

RAY vs Fuma no KTR | 凱旋MC battle 冬ノ陣2023 at Zepp Fukuoka

2023年に開催された「凱旋MC battle 冬ノ陣2023 at Zepp Fukuoka」のRAY vs Fuma no KTRのバトル。

RAYとFuma no KTRのバトルは「渋谷レゲエ祭 vs 真ADRENALINE」に続く2度目のバトルになりますが、前回と同じくベストバウトになりました。ディスり合いがなくお互いが笑顔になるピースフルなバトルで、2人のフロウと音乗りが聴いていて気持ちいいです。

レゲエのビート(BAD JAPANESE)の上で、お互いがAPOLLOのサンプリングを歌ったのも良かったですね。

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MU-TON vs ¥ellow Bucks / 凱旋MC battle さいたまスーパーアリーナ

MU-TON vs ¥ellow Bucks 凱旋MC battle さいたまスーパーアリーナ

2022年に開催された「さいたまスーパーアリーナ」でのMU-TON vs ¥ellow Bucksのバトル。¥ellow Bucksは音源やライブをメインに活動しており、ふだんMCバトルに出ることはなく、この日はスペシャルライブゲストとして出演していました。

しかしこの大会の1回戦「MU-TON vs ベル」のバトル中にMU-TONが「¥ellow Bucksのライブがダサかった」とディスります。当然このディスに黙っていられない¥ellow Bucksは、2回戦の「MU-TON vs CHEHON」が始まる前に乱入し、MU-TONにバトルを仕掛けます。

急遽始まったバトルでしたが、やはり¥ellow Bucksのフリースタイルスキルは高く、ラッパーとしての実力を見せつけます。このバトルはエキシビションとして勝敗はつきませんでしたが、歴史に残る伝説のバトルになりました。

まとめ

凱旋MCバトルの成り立ちや、大会の特徴について解説しました。

オーガナイザーである怨念JAPは「凱旋MC Battle」を21歳という若さで立ち上げ、わずか数年で日本最大級のMCバトルにまで成長させました。MCバトルを盛り上げるためにさまざまな挑戦や取り組みを繰り返し、凱旋MCバトルはまだまだ大きく成長していくでしょう。

怨念JAPはインタビューにて「いずれは東京ドームでMCバトルの大会をやりたい」と話していたこともあるので、実現が非常に楽しみです。

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この記事を書いた人

ヒプラガのアバター ヒプラガ ライター/ブロガー

大阪出身のブロガー。小学生の頃にレゲエにハマり、レゲエの音楽を20年以上聴いています。レゲエDeeJayがMCバトルに出場したのをきっかけに、ヒップホップも聴くようになりました。
ヒップホップやレゲエの音楽・文化をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、ヒップホップやレゲエに関する情報を発信しています。

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