GADORO(ガドロ)は、現在のヒップホップ界のトップを走るラッパーです。MCバトルの日本一を決める大会「KING OF KINGS」で2連覇を果たし、その後は音源やライブ活動を中心にますます躍進しています。
今ではヒップホップ界で知らない人はいないほどの知名度と人気があるGADOROですが、過去には壮絶な下積み時代も経験しており、底辺から現在の地位まで這い上がってきました。
この記事では、GADOROのプロフィールや経歴を深堀りしていきます。MCバトルやおすすめの音源についても解説しますので、GADOROに興味がある人はぜひチェックしてみてください。
GADOROとは
GADORO(ガドロ)は宮崎県出身のラッパー。つねに帽子(バケットハットやキャップ)を深めに被っており、後ろ髪が少し見えた外見が特徴的です。ふだん話す時は強い宮崎訛りがあります。
今では毎週のように全国各地でライブを行うほど引っ張りだこのGADOROですが、生まれ育った地元への愛情がとても強く、今でも宮崎に住みながら全国各地に飛び回っています。
GADOROのラップスタイル
楽曲でのGADOROのラップスタイルは、とにかく韻を踏みまくるスタイルと心に突き刺さるリリックが特徴的です。
リリックではGADOROが経験した葛藤や苦しみをありのままに表現し、自分の弱さや信念をさらけ出すリアルな歌詞が心に突き刺さります。他のラッパーにありがちなゴールドや高級ジュエリー、豪華なディナーなどではなく、どん兵衛やラーメン、茶割りなどの身近なものが好きという、等身大で飾らないスタイルが魅力的です。
GADORO自身も「リリックについてはありふれた言葉ではなく、わかりやすい表現、韻については自分と対極な生活、思想を描いてる人を皮肉を交えながらライムすることを意識してます。」と話していました。
フロウでは、リズミカルに韻を踏んでラップをしたり、優しい歌声で穏やかに歌ったりするスタイルなど、幅広いフロウを持ち合わせています。
Four Mud Arrowsを設立
GADOROは2022年11月に自身のレーベル『Four Mud Arrows(フォー・マッド・アローズ)』を設立しています。ライブDJの”MXNIST”と”DJ HITOSHI”、幼なじみ、そしてGADORO自身を含めた、計4人のレーベルです。
『Four Mud Arrows』は、少数精鋭の中で各々の強み(方向性、特異性)を生かし、1本では折れることのある「矢」でも「4本の矢」では折れにくい、決して折れない、そして「泥くさく」、「ハングリー」にやっていこうという意志、結束の大切さをコンセプトに掲げています。
GADOROの6枚目であり独立して初のアルバム「リスタート」では、レールの外れた列車から”再出発”するという意味が込められており、客演を迎えずにGADOROのワンマンとして制作されました。
『Four Mud Arrows』の公式インスタグラムでは、GADOROのライブ活動やグッズに関する情報を中心に発信されているので、チェックしてみてください。
GADOROのプロフィール
アーティスト名義 | GADORO(ガドロ) |
本名 | 増本一博 |
生年月日 | 1990年11月29日 |
身長 | 175cm |
出身 | 宮崎県高鍋町 |
拠点 | 宮崎県 |
レーベル | Four Mud Arrows (自身で立ち上げたレーベル) |
最終学歴 | 高校卒業 |
名前の由来・本名
GADOROの名前の由来については詳しくはわかっていません。本人が思いつきで付けたと話していたことがありますが、真相は不明です。(ファンの間ではさまざまな考察があり「我は泥臭く=我泥(ガドロ)」でGADOROと名付けたというような噂もありました。)
本名の「増本一博(かずひろ)」からも関係がないと思われます。
GADOROの性格
GADOROは現在でも宮崎県に住みながら全国のライブに飛び回るほど、地元の宮崎を愛しています。楽曲のリリック(歌詞)にもよく宮崎が登場し、生まれ育った街への愛情や敬意が込められることが多いです。ふだんは強い宮崎訛りがあり、穏やかなゆっくりとした話し方です。
MCバトルでGADOROを見ていた人は、バチバチで気が強いイメージを持っているかもしれませんが、ふだんは穏やかな性格でファンにもとても優しく、どんな人にも礼儀正しく接しています。
また、GADOROはラップ以外の才能は何も無いと話しており、簡単な作業の仕事でさえも上手くできず、よくバイトや仕事をクビになっていたそうです。
GADOROの両親
GADOROの父親
父親はGADOROが小さい頃から5年ほど刑務所に入っていたそうです。職人気質ですぐに手が出てしまう父親だったが、プラモデルを作ってくれたり、仕事終わりで疲れていてもキャッチボールをしてくれたりと、優しい一面もあったとのこと。
GADOROが父親について歌った曲「クソ親父へ」では、幼い頃の父親についての記憶や思い出、父親へ伝えたい想いなどが込められています。曲では「俺にとってのヒーローはウルトラマンではなく親父だ」とも歌われており、父親を尊敬していることが伝わります。
「クソ親父へ」はGADOROの6枚目のアルバム『リスタート』に収録されています。
GADOROの母親
GADOROの母親は、地元の高鍋町で”はなみずき”というスナックを経営しています。母親とはよく喧嘩したりけなし合っていたが、風邪を引いた時などは優しく、思いやりの強い人だとのことです。
母親が経営しているスナックの名前と同じ曲名の「はなみずき」は、母親との思い出や関係性、ふだん口にしない想いなどが込められた曲になっています。「はなみずき」はGADOROの7枚目のアルバム『TAKANABE』に収録されています。
レゲエDeeJayとも仲が良い
GADOROはヒップホップのラッパーですが、レゲエのアーティスト(DeeJay)とも仲が良く、コンビで楽曲をリリースしたり、ライブで共演したりすることも多いです。
主にGADOROと楽曲で共演しているレゲエDeeJayは以下のとおりです。
- J-REXXX
- THUNDER
- CHEHON
- 775
- TAK-Z
GADOROとレゲエDeeJayのコンビ曲について詳しくは以下で解説しています。
GADOROのファッション
GADOROは基本的にストリートスタイルのファッションであることが多く、トップスは派手目な柄シャツからシンプルなTシャツ、パーカーなどさまざまで、ズボンはダボッとしたワイドパンツやバギーパンツを履いていることが多いです。コンバースの靴を履いていることが多く、楽曲の歌詞にもよく出てきます。
また、つねにバケットハットやキャップといった帽子を深めに被っており、ライブやMV、ふだんの生活でも帽子を被っているため、あまり帽子を脱いでいる姿は見られません。
GADOROがよく着用している服のブランドについては以下で詳しく解説しています。
GADOROの経歴
GADOROの経歴をざっくりと年代別に表にまとめると以下のとおりです。
1990年 | 宮崎県高鍋町にて生まれる |
2007年 | 高校2年生のときに般若の影響でラップを始める |
2013年 | UMB2013の宮崎予選に出場 |
2016年11月 | 「戦極15章」で優勝 |
2017年1月 | 「KOK2016」で優勝 1stアルバム『四畳半』をリリース |
2017年11月 | 2ndアルバム『花水木』をリリース |
2018年1月 | 「KOK2017」で優勝 |
2019年3月 | 3rdアルバム『SUIGARA』をリリース |
2020年4月 | 4枚目のアルバム『1LDK』をリリース |
2021年9月 | 5枚目のアルバム『韻贅生活』をリリース |
2022年11月 | 自身のレーベル『Four Mud Arrows』を設立 |
2023年2月 | 6枚目のアルバム『リスタート』をリリース |
2024年4月 | 7枚目のアルバム『TAKANABE』をリリース |
2025年3月 | 武道館でのワンマン「四畳半から武道館」を開催 |
宮崎の高鍋で誕生〜おばあちゃんと過ごす少年時代
GADOROは1990年に宮崎県の高鍋町に生まれます。
高鍋町は、宮崎県の海沿いの真ん中にある「歴史と文教のまち」です。宮崎県の中でももっとも小さい町で、田んぼや畑が多い自然溢れる田舎町です。
GADOROは小学生の頃から野球をしており、将来は野球選手になるのが夢だったとのこと。お父さんはGADOROが小さい頃から5年間ほど刑務所に入っており、ほとんど会えなかったそうです。
GADOROのお母さんも仕事が忙しく、小さい頃は母方のおばあちゃんとよく一緒に過ごして遊んでいました。GADOROの2ndアルバム『花水木』に収録されている曲「カタツムリ」では、小さい頃に遊んだおばあちゃんとの記憶や想いがリリックに綴られています。
おばあちゃんがよく聴いていた”北島三郎”や”鳥羽一郎”の影響を受け、GADOROも音楽が好きになります。GADOROはおばあちゃんの鼻歌が自分の音楽のルーツだと話していました。
“クズ”で友達がいなかった学生時代
GADOROは幼い頃から物事をまっすぐに見ることができず、自分のことを「性格がひねくれた”クズ”だった」と話していました。インタビューでは学生時代について「勉強は全然できず、成績はいつも下から2番目でした。後先考えずに行動していたので、橋から飛び降りて上れなくなり夜中まで橋の下で泣いていたこともありました。」と話していたこともあります。
中学・高校に進むと「クズさ加減」はさらにひどくなり、サッカー中に同級生の足をわざと蹴ったり、鬼ごっこで自分ばかりを狙ってくる人を殴ったり、野球でバットを投げたりと、かなり荒れた学生時代だったそうです。周りとの喧嘩も多く、しだいに人が離れ、友達がほとんどいない時期もありました。
そんなGADOROですが、大の巨人ファンだった父親や、当時の大スターであるイチローの影響を受け、小学校3年生から高校の途中まで野球を続けていました。友達のいなかったGADOROはキャッチボール相手がいなく、壁に向かってボールを投げていたそうです。
般若を聴きラップに出会う
“クズ”だったと語り荒れた学生時代を過ごしたGADOROでしたが、高校2年生の時にラッパーの般若の影響で自身もラッパーを目指します。
GADOROは般若の楽曲や、B BOY PARKでの「般若 vs 漢 a.k.a. GAMI」とのMCバトルに影響を受け「どうすればラッパーになれるのか」と考え始めるようになります。
その後は1人でフリースタイルをするほどヒップホップにハマっていきます。
高校を卒業し、UMB2013の宮崎予選に出場
GADOROは高校を卒業し、パチンコ屋でバイトをしながらフリーターをしていましたが、半年くらいでお客さんと喧嘩をしてクビになったそうです。その後もバイトを転々としながらフリースタイルを磨いていました。
そんな中、地元の宮崎でMCバトルの大会「UMB」の宮崎予選が開催されることを知り、すぐに出場をエントリーします。当時は「宮崎なんてラップの文化も無いだろうし簡単に優勝できるだろう」と思っていたそうで、実際に決勝まではトントン拍子で勝ち上がっていきます。
しかし決勝では、当時の宮崎の顔であり現在でもMCバトルの最強格であるMOL53と対戦。GADOROは小節を間違えるなど散々な失敗を繰り返し、結果はMOL53に惨敗してしまいます。
下積み時代
UMB2013の宮崎予選での結果に対する批判や罵倒は凄まじく、ネットや現場でも散々叩かれたとのこと。地元の先輩や後輩からも無視されるようになり「周りに嫌われている」と感じるようになります。
実際にGADOROのライブの出番になると、お客さんはみんなバーカウンターに移動し、3人だけしか残らなかったこともあったそうです。しかも3人のうち、2人がGADOROのライブ中にディープキスをし始め、この時はさすがに堪えたと話していました。
MCバトルで活躍し始める
当時の宮崎では嫌われ見向きもされなかったGADOROですが、持ち前の”フリースタイルスキル”と”気持ちの強さ”により、MCバトルは強い成績を残していました。
KOK2015ではベスト4まで進出し、当時の大人気番組『フリースタイルダンジョン』に出演するなど、MCバトルでの活躍の幅を広げていきます。GADOROのバチバチスタイルや韻の硬さが反響を呼び、着実にプロップスも上げていきます。
そして2016年11月に開催された「戦極MC BATTLE 第15章」の決勝戦にて、UMB2013の宮崎予選で敗れたMOL53と再び対決します。結果は見事に勝利し、因縁の相手にリベンジを果たします。
さらに同年の「KOK2016」の本戦への出場が決定。KOKでもトーナメントを順調に勝ち上がり、決勝戦でACEに勝利し、見事優勝を勝ち取ります。
KOKで史上初の2連覇を達成
KOK2016で優勝し日本一の称号を手に入れたGADOROは、ラッパーとして本格的に音源制作にも力を入れ始め、2017年1月にはファーストアルバム『四畳半』をリリースします。
アルバムのリリースイベントとして初のワンマンライブを開催し、成功させるなど、その後もライブと音源制作に注力。同年の2017年11月には、セカンドアルバム『花水木』をリリースします。
2017年の年末には3度目のフリースタイルダンジョン出演のオファーを受け、久しぶりのバトルではACEに敗れてしまいます。
しかし前年度のチャンピオンとして出場する「KOK2017」では、1回戦から凄まじいバチバチスタイルでNAIKA MCに勝利し、決勝まで勝ち上がります。そして決勝戦の相手は、またもや因縁の相手であるMOL53。ここまで1勝1敗で迎えた3度目の対戦ではGADOROが見事勝利し、史上初のKOK2連覇を達成します。
「KOK2017」のMOL53との決勝戦は、延長4回にも及ぶベストバウトです。Youtubeには上がっていませんが、ヒップホップの歴史に刻まれるバトルになっているので、ぜひDVDで観てください。
楽曲とライブで躍進
KOKの2連覇以降はMCバトルからは離れ、楽曲制作やライブ活動に力を入れ始めます。
楽曲制作では、
- 2019年3月:3枚目のアルバム『SUIGARA』をリリース
- 2020年4月:4枚目のアルバム『1LDK』をリリース
- 2021年9月:5枚目のアルバム『韻贅生活』をリリース
など、音源やアルバムをコンスタントにリリースします。
ライブ活動でもさまざまなイベントに呼ばれ、毎週のように各地でライブをするようになり、ますます知名度や人気が上がっていきます。
事務所を独立し、武道館を目指す
GADOROは日本武道館でワンマンライブをすることを目標にしており、楽曲の歌詞やライブでもよく「武道館に立つ」と発言しています。武道館に立つために、”新しいことにどんどん挑戦してもっと活動を大きくしたい”という思いから、2022年11月には自身のレーベル『Four Mud Arrows』を設立し、事務所を独立します。
自身のレーベルを立ち上げてからも楽曲とアルバムをコンスタントに制作。
- 2023年2月:6枚目のアルバム『リスタート』をリリース
- 2024年4月:7枚目のアルバム『TAKANABE』をリリース
さまざまな大きなイベントに呼ばれたり、ワンマンツアーを開催したり、さらに活動の幅を広げていきます。
GADOROは「これだけ武道館をやるって言って、やらなかったら嘘になってしまう。」と話しており、自分の言葉で自分のケツを叩いているとのこと。
いつか武道館でワンマンをやる日がとても楽しみですね。
自分もGADOROのファンなので絶対に観に行きます!
武道館でのワンマン「四畳半から武道館」の開催が決定
2025年3月6日、ついに武道館でのワンマン「四畳半から武道館」の開催が決定しました。
発表の経緯は、2024年8月16日にZepp Diver Cityで行われたGADOROのワンマン『TAKANABE』にて、ライブの終盤に発表されました。スクリーン上にGADOROと父親が会話している様子が映し出され、父親に武道館でワンマンすることを伝えるという内容でした。
武道館のチケットは、発表から1か月ほどで全席完売となりました。
来年2025/3/6(木)
— GADORO (@GADORO1next) September 24, 2024
【日本武道館公演】
GADORO ONE MAN LIVE
"四畳半から武道館"
全席SOLD OUTとなりました!
ご購入頂きありがとうございます。 pic.twitter.com/7wxW66pgvf
ただし武道館はあくまでも目標であり、ゴールではありません。GADOROにとってまたここからが「ハジマリ」だとのことです。
GADOROのMCバトル
現在は楽曲やライブで活躍するGADOROですが、過去には戦極MCバトルで優勝したり、KOKで2連覇を果たしたりと、MCバトルもかなり強いです。
最近GADOROを音源やライブなどで知った人は意外かもしれませんが、MCバトルの時のGADOROはかなりバチバチなスタイルです。正面から至近距離で相手を睨みつけバチバチにディスり、小節のケツ(最後)で確実に韻を踏んで観客を盛り上げる、というスタイルが印象的でした。
バトルサミットには出場する?
2024年の8月に、優勝賞金が2000万円という史上最大のMCバトル大会『BATTLE SUMMIT Ⅱ』が開催されることが決定しました。この大会ではふだんMCバトルに出場しないような、音源やライブで活躍するラッパー・HIPHOPアーティストばかりが選抜されており、GADOROの出場も期待されています。
バトルサミット2の出場者はまだ発表途中なのでGADOROが出場するかはわからないですが、GADOROが出場する可能性は十分にあります。
追記:バトルサミット2への出場が期待されていたGADOROでしたが、最終的に出場することはありませんでした。
おすすめの曲・音源
GADOROがこれまでにリリースしたアルバムは7枚です。客演として参加した曲などを含めると、持ち歌の音源は100曲を超えています。ラップを始める切っ掛けとなった般若や、レジェンドラッパーの漢 a.k.a GAMI、Zeebraとも楽曲で共演するなど、多くのラッパーに実力が認められている存在です。
卓越したフロウや音乗り、韻を踏みまくるスタイルが魅力ですが、何よりも自身の経験や葛藤から生み出されたリリックが心に突き刺さります。
GADOROのおすすめの音源や人気曲ランキングは以下で解説しているので、気になる人は是非チェックしてみてください。
まとめ
今回は現在のヒップホップシーンのトップを走るラッパー、GADOROのプロフィールや経歴について詳しく解説しました。GADOROの経歴を見ると、過去には壮絶な批判や罵倒を受けたこともあり、孤独でつらい経験をしていたことがわかります。
しかし底辺でも折れない気持ちの強さと並外れた努力によって、誰もが認めるラッパーにまで這い上がってきました。現在では毎週のように宮崎から全国に飛び立ちライブや音源で活躍するGADOROは、いずれ目標の武道館に立つでしょう。
これからのGADOROがどこまで上がっていくのか、今後の活動もとても楽しみです。
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