MCバトルは各イベントごとにオーガナイザー(主催者)が異なり、それぞれに特徴やおもしろさがあります。
現在日本で行われているMCバトルの主要なイベント(大会)は以下のとおり。
- 戦極MC BATTLE
- 凱旋MC BATTLE
- 真ADRENALINE
- SPOT LIGHT
- 口喧嘩祭
- KING OF KINGS (KOK)
- ULTIMATE MC BATTLE (UMB)
- THE 罵倒
- 破天MC BATTLE
- Dis4U MC BATTLE
- KYUSHU MC BATTLE
- NEO GNESIS MC BATTLE
- Red Bull ROKUMARU(旧 韻 Da House)
小規模〜大規模まで様々な大会やイベントがありますが、それぞれのイベント(大会)の特徴をわかりやすく解説していきます。
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大会とオーガナイザーの違いを比較
まずは各大会のオーガナイザーと特徴をわかりやすく表にまとめました。
バトルイベント名 | オーガナイザー | 特徴 |
---|---|---|
戦極 MC BATTLE | MC正社員 | ・芸人やアイドルなどさまざまなMCが参加 ・より一般の層にも届くように注力 |
凱旋 MC BATTLE | 怨念JAP | ・アリーナでのデカ箱やツアー ・新世代の発掘など ・新しいことに挑戦 |
真ADRENALINE | ACE、HIDE | ・DJではなく生バンド ・バンド操作も可能で音楽性も重視 |
SPOTLIGHT | 韻踏合組合 | ・大阪が中心 ・ハイレベルなバトル |
口喧嘩祭 | 梵頭 (HIKIGANE SOUND) | ・その場でクジ引き形式で対戦相手を決める |
KING OF KINGS | 漢 a.k.a GAMI (9SARI GROUP) | ・都道府県予選からの勝ち上がりや、 様々な大会の優勝者のみによる大会 |
ULTIMATE MC BATTLE(UMB) | Libra Records | ・各都道府県から出場MCを募集し、 予選優勝者が本戦に出場できる |
THE 罵倒 | CASTLE RECORDS | ・ボディタッチあり |
破天MC BATTLE | 株式会社イザナギゲームズ | ・映像とMCバトルが融合 ・司会者はアンジャッシュ渡部建 |
Dis4U MC BATTLE | Dash1xx | ・客が近い |
KYUSHU MC BATTLE | PEKOKHARED | ・九州で開催 |
NEO GNESIS MC BATTLE | RunLine | ・若手からベテランまで幅広く参加 ・次世代のMCにスポットを当てる |
Red Bull ROKUMARU | レッドブル | ・60秒×2Roundのバトル |
各主要大会ごとの詳細を解説
戦極MC BATTLE
戦極MC BATTLEはMC正社員が主催するMCバトル大会。
過去のMCバトルはアングラ色が強く「ラッパーといえば不良」というようなイメージが強かったのですが、戦極はより一般層にもMCバトルを届けることにも注力し、”MCバトルを好きな人”を増やすことに貢献している。
また、選抜制を一番最初に取り入れたのも戦極であり、芸人やアイドルをMCバトルに呼び込んだり、エンタメ性を強化することで、ヒップホップに興味がない人にも興味を持ちやすい工夫をしています。
近年は、日本武道館や両国国技館といった大舞台でのMCバトル大会を開催するなど、規模もかなり大きくなってきております。
2007年度より「戦慄MC BATTLE」という名前で開催されていましたが、2012年から「戦極MC BATTLE」としてリニューアルされました。
凱旋MC Battle
凱旋MC BATTLEは、怨念JAPが21歳という若さで立ち上げたMCバトルの大会。
さいたまスーパーアリーナという大きな会場でMCバトルを開催したり、ツアーという形で各地のあらゆる場所でMCバトルを定期的に開催したりしています。
また、「GIANT KILLING」という新世代のラッパーを取り入れたMCバトルの大会を開催したりと、新しいことにどんどん挑戦している印象です。
短い期間で急成長しており、現在最も注目されているイベント(大会)ではないでしょうか。
真ADRENALINE
真ADRENALINEはラッパーのACEとHIDEが主催するMCバトルイベント。
特徴はなんといってもバトルビートが生バンドということ。バトル中にMCがバンドに指示を出すことで、バンドの演奏に変化をつけることができます。
バンドの演奏に変化をつけることで、グルーヴやリズムを強調することができるので、即興や押韻だけでなく高い音楽性も求められます。
関連:【MCバトル】バンドの操り方を解説!ワンドロップ以外の指示、合図の種類も比較
また、真ADRENALINEは、他イベントとコラボした大会も頻繁に開催されます。過去には、渋谷レゲエ祭というレゲエのイベントや、KING OF KING、戦極MC BATTLEとのコラボ大会が開催されることが多いです。
SPOT LIGHT / ENTER
大阪のHIPHOPクルー「韻踏合組合」が主催するMCバトルの大会。
年に数回開催されるENTERを予選とし、年末にはENTERの入賞者を含めたSPOT LIGHTでその年の優勝者を決定します。大阪最大のバトルといえばSPOT LIGHTといっても過言ではないほど関西で人気の大会です。
大会にもよりますが「アカペラルール」が取り入れられることもあります。
口喧嘩祭
岐阜県を発祥とするヒップホップクルー「HIKIGANE SOUND」が主催のMCバトルイベント。
特徴はなんといっても、トーナメント表を用いないくじ引き形式のバトル。
バトルの組み合わせを毎試合くじ引きにより決定するため、バトルの直前まで誰と当たるかがわからない状態。特定の相手に対するネタを仕込むのが難しく、より即興性が求められる大会です。
KING OF KINGS (KOK)
KING OF KINGSはラッパーの漢 a.k.a GAMIが率いるヒップホップレーベルである、9SARI GROUPが主催するMCバトルの日本一を決める大会です。(KOKと略される。)
各都道府県予選からの勝ち上がりや、様々な大会の優勝者のみが出場できる大会であり、King of Kings = まさに王の中の王を決める大会です。
KOKは勝敗を決めるルールが明確に決まっています。
- 判定方式
-
- 観客の歓声による判定【1ポイント】
- KOK選出のプロ審査員による判定【4名×1ポイント (4ポイント)】
合計5ポイントで過半数を占めた場合に勝利となる。
引き分けの場合は勝敗が決まるまで何度でも延長線を行う。
- 審査員の採点方式 = 10 POINT MUST SYSTEM
-
- 優勢な方の得点を10点固定とし、劣勢な方の得点が減点
- 引き分けの場合の得点は10対10
- 圧倒的に優勢の場合の最大得点差は10対7
- 先攻と後攻 の8小節ずつを1ターンとし、ターン数の合計点で競う
(8小節3ターン勝負の場合、得点は30点満点)
- 採点基準
-
- パンチライン
有効なRHYME(押韻)を繰り出し、よりダメージを与えた方が優勢 - アグレッシブ(有効な攻勢)
より攻撃的である方を優勢とし、自己紹介的なラップではなく、BATTLE RHYMEとして成立しているかどうかが重要 - ジェネラルシップ(主導権支配)
個性的なフロウやスキルで巧みな試合運びをし、主導権を支配している方が優勢 - カウンター
相手の攻撃に対する具体的なアンサーを返せたかどうか
- パンチライン
公式サイトより引用
KOKのルールについては、以下で詳しく解説しました。
» MCバトルのKOKとは?日本一を決めるラップバトルの特徴やルールを解説
ULTIMATE MC BATTLE (UMB)
ULTIMATE MC BATTLEはLibra Recordsが主催するMCバトルの大会。(UMBと略される。)
2005年からラップのフリースタイルで頂点を決めるために開催された大会で、MCバトルでは最も歴史が長いイベントになります。
R-指定が3連覇したことで有名な大会ですね。
各都道府県から出場MCを募集し、予選優勝者が本戦に出場できる仕組みであり、勝敗のすべてを観客が決定する、全員参加型のイベントです。
THE罵倒
THE罵倒はCASTLE RECORDSが主催するMCバトルの大会。
特徴はなんといっても、ボディタッチがありということ。MCバトル業界一のバチバチのイベントです。
破天MC BATTLE
破天MC BATTLEは株式会社イザナギゲームズが主催するMCバトルのイベント。
特徴は「バトルフィールドシステム」です。バトルステージの背景がプロジェクションマッピングのXR技術により変化し、ビートと共に臨場感のあるバトルが演出されます。
また、バトルの司会者はお笑い芸人のアンジャッシュ渡部さんです。番組で司会を務めていたこともあり、やはり進行がとても上手いですね。
Dis4U MC BATTLE
Dis4U MC BATTLEは、MC正社員さんとラッパー?のDash1xxが主催するMCバトルのイベント。
MCバトルだけでなく、LIVEのイベントも開催することがあります。
フリーエントリーのバトルイベントがほとんどなく、新しい若手に日が当たらないという現状から、次のスターを探すために立ち上げられたイベントとのこと。
定期的に「Dis4U MCBATTLE – episode○○- ~サブタイトル~」というようなイベント名で開催されます。
大会にもよりますが、観客がステージを回り込むように取り囲み、MCとの距離がかなり近いという特徴があります。
KYUSHU MC BATTLE (九州MCバトル)
KYUSHU MC BATTLE (九州MCバトル)はPEKOKHAREDが主催するMCバトル大会。(KMBと略される。)
その名の通り、九州で開催されることが多く、出場者も九州や山口といった地域のラッパーが中心。(他の地域からも集まります。)
年に数回予選が行われ、決勝大会の優勝者にはKOKに出場する権利が与えられます。
NEO GENESIS MC BATTLE
NEO GENESIS MC BATTLEはラッパーのRunLineが主催するMCバトルイベント。
2023年に立ち上がったまだ新しいイベントであり、初心者からベテランまで誰でも参加可能なMCバトルとして幅広いラッパーが出場する。
Red Bull ROKU MARU
Red Bull ROKU MARUはレッドブルが主催するMCバトルのイベントです。以前までは「Red Bull 韻 DA HOUSE」という名前のイベントでしたが、2024年から名前がリニューアルされました。
特徴はやはり「60秒×2Round」という特殊ルールです。従来の「○小節×○ターン」とは一線を画し、長尺バースでのバトルになるので、対話よりもフロウやグルーヴ感、音楽性が求められるバトルになるでしょう。
1Roundが長いので、後攻が圧倒的に有利になるのではないかと感じるかもしれませんが、Red Bull ROKU MARUの勝敗は審査員による判定方式で決まります。
プロの審査員による厳正な判定になるので、先攻が不利になるということは特にないでしょう。
BATTLE SUMMITとは
BATTLE SUMMITとは、複数のMCバトル団体による合同主催のMCバトルの大会。
優勝賞金や会場など規模が普段のMCバトルよりも段違いに大きくなり、出場MCもかなり豪華になります。
BATTLE SUMMITについては下記で詳しく解説しました。
- BATTLE SUMMIT (第1回目)
-
2022年に日本武道館で開催された初めてのBATTLE SUMMIT。
全20名からなるMCバトルトーナメントで、優勝賞金はなんと1,000万円。
MCバトル団体の、「戦極MC BATTLE」、「凱旋MC BATTLE」、「真ADRENALINE」、「KING OF KINGS」、「SPOTLIGHT」と、レゲエのDeeJayクラッシュイベント団体である「COMBAT」、6つのイベントがそれぞれ選抜した人気MCの中から頂点を決める大会です。
豪華な対戦カードが組まれており内容もかなり良かったので、見たことがない人はぜひ一度はチェックしてみてください。
- BATTLE SUMMIT Ⅱ (第2回目)
-
2024年8月に開催される2回目のBATTLE SUMMIT。
開催される会場は代々木第一体育館、優勝賞金はなんと2,000万円です。
『BATTLE SUMMIT Ⅱ』についての詳細は下記で解説しました。
>BATTLE SUMMIT2の開催が決定!出場メンバーやバトルの詳細を解説
FSL
FSL=Free Style League(フリースタイルリーグ)は、フリースタイルのプロリーグ化をコンセプトに掲げ立ち上げられたMCバトルのプロジェクトです。
ラッパーのZeebraを主導とし、MC正社員、怨念JAP、ACE、梵頭、SATUSSYなどの各イベントの主催者も共同して運営されているイベントになります。
関連:Zeebraとはどんなラッパー?経歴や人気曲からヒップホップシーンを理解する
FSLは通常のMCバトルと違った要素や特徴があります。
- マッチメイク方式
- 勝敗はアプリ投票による判定
- ランキング制度
- BeeBetで賭けに参加できる
他にもおもしろいルールや特徴があるので、気になる人は下記の記事もチェックしてみてください。
まとめ
今回はMCバトルの主要イベント団体やオーガナイザーについて解説しました。
それぞれのイベントごとに特色が異なるので、MCバトルを見る側にとってもおもしろいですね。
最近ではMCバトルの人気がさらに高まってきていることから、オーガナイザー(主催者)やイベント団体も増えてきており、毎週のように各地でMCバトルが開催されています。
個人的には増えすぎているような気もしますが、MCバトルの人気が上がっているのは嬉しいことですね。
MCバトル業界がこれからどのように発展していくのが楽しみです。
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