Zeebraとはどんなラッパー?経歴や人気曲からヒップホップシーンを理解する

Zeebra(ジブラ)は、日本のヒップホップ・シーンのトップに君臨するキャリア30年以上のラッパー。数々のクラシックを生み出してきたZeebraは間違いなく日本人ラッパーの象徴とも言えるアーティストです。

「高校生ラップ選手権」「フリースタイルダンジョン」の仕掛け人でもあり、近年立ち上げられたFSL(フリースタイルリーグ)というMCバトルのプロジェクトにおいても、オフィシャルチェアマンとして参画しています。

 

今回は、ヒップホップシーンのトップに君臨する「Zeebra」とはどのようなラッパーなのか、プロフィールや経歴を徹底解説し、おすすめの曲もいくつか紹介します。

Zeebaraは日本のヒップホップを語るには絶対に外せない存在なので、HIPHOPが好きな人は必ず最後までチェックしてください。

 

目次

Zeebraとは

Zeebra(ジブラ)とは、東京都港区出身、キャリア30年以上というベテランのラッパー。

日本のヒップホップ・シーンのレベルを新たな次元に引き上げた立役者で知られ、HIPHOP界の「父」と呼ばれるほどのレジェンド級のラッパーです。

Zeebraの「東京生まれHIOHOP育ち、悪そうな奴は大体友達」というフレーズは、ヒップホップを知らない層でも聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。

 

数々の功績と実績を残したラッパー「Zeebra」の人生を紐解くことは、日本のヒップホップの歴史を理解することと言っても過言ではないでしょう。

Zeebraのプロフィール

Zeebraのプロフィール写真:Instagramより引用
アーティスト名Zeebra(ジブラ)
本名横井 英之(よこい ひでゆき)
生年月日1971年4月2日
身長178cm
出身地東京都港区
学歴文化学院中退
所属レーベルGRAND MASTER
Zeebraのプロフィール

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Zeebraの本名と名前の由来

リリックを書き出した頃はまだZeebraとは名乗っておらず、「ドープ・D」というMCネームでした。ドープな音楽をディールするという意味が込められていたようですが、半年後にZeebraという名前に改名したそうです。

Zeebraは「日本のカルチャーがアメリカのGHQを土台としているのなら、ホワイトなアメリカの中に育ち内側からブラックネスが滲み出ている」と、白と黒(陰と陽)をイメージしたとのこと。

そして白と黒の生物であるシマウマ=Zeebraに繋がったのが名前の由来です。楽曲でもよく「鼻息荒いシマウマ」というフレーズを歌いますよね。

 

Zeebraの性格

Zeebraはキャリア30年以上のベテランであり数々の功績を残していることから、多くの後輩やラッパー達から尊敬され、ラッパーの教科書として目指すべき存在でもあります。

 

ラップではドスの効いたダミ声で攻撃的なリリックも歌うZeebraですが、普段は決して偉そうな態度や横柄な人柄ではなく、どんな人にも礼儀正しく大人の対応で接しています。

HIPHOP界の「父」とも呼ばれ、多くの若手ラッパーからも愛される存在です。

 

Zeebraの経歴

画像:Facebookより引用

Zeebraはキャリア30年以上ということもあり、経歴も多岐にわたります。

誕生〜少年時代
  • 東京都港区に生まれる
  • 幼稚園の頃の夢は漫画家
  • 小学校2年の時に母親が再婚して苗字が坂倉になる
  • 異父弟の弟(SPHERE)が生まれる
  • 洋楽を聴くようになりマイケル・ジャクソンに衝撃を受ける
中学〜高校時代
  • 渋谷のチームに加入しストリートに溜まるようになる
  • 後にキングギドラを組むKダブシャインと出会う
  • 高校1年の夏に中退
NY時代
  • 17歳の時にニューヨークへ渡米
  • ワシントン・スクエアでのホーム・フォー・ホームレスのパレードに参加する
  • この頃、初めてリリックを英語で書く
DJ時代
  • ジェイトリップバーでDJを始める
  • 後にキングギドラを組むDJ OASISと「POSITIVE VIBE」を結成
  • 20歳で結婚しその後、2人の息子をもうけるも離婚
キングギドラ時代
  • 当時、オークランドに住んでいたKダブシャインの国際電話での日本語のラップに影響され、日本語でリリックを書くようになる
  • Kダブシャイン、DJ OASISと共にキングギドラを結成する
  • キングギドラの1stアルバム「空からの力」をリリース
  • ヒップホップイベント「さんピンCAMP」に出演
  • キングギドラ活動休止
ソロデビュー後
年代内容
1997年ソロでメジャーデビューし、1stシングル「真っ昼間」をリリース
1998年1stアルバム「THE RHYME ANIMAL」をリリース
1999年Dragon Ashのシングル「Grateful Days」に客演参加
TFM系(全国32局)ネットでのレギュラー番組「BEATS TO THE RHYME」を開始
2000年2ndアルバム「BASED ON A TRUE STORY」をリリース
2001年映画「TOKYO G.P」に主演出演
2002年キングギドラを再始動し、2ndアルバム「最終兵器」をリリース
モデルの中林美和と再婚し2人の娘をもうける
プロデュースユニット「FIRSTKLAS」を結成
2003年3rdアルバム「TOKYO’S FINEST」をリリース
2005年ドラマ「15歳のブルース」に出演
ヤクルトスワローズおよび明治神宮野球場の空間プロデュースを担当
2006年4thアルバム「The New Beginning」をリリース
ヒップホップ番組「シュガーヒルストリート」の司会を務める
2007年5thアルバム「World Of Music」をリリース
2008年20周年記念ベストアルバム「The Anthology」をリリース
日本武道館で20周年記念ライブを開催
2010年映画「座頭市 THE LAST」に出演
2011年6&7thアルバム「Black World/White Heat」を2枚組でリリース
2012年審査員、企画を務める「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」が放送開始
2013年8thアルバム「25 To Life」をリリース
2014年レーベル「GRAND MASTER」を発足
ヒップホップフェスイベント「SUMMER BOMB」を主催・開催
2015年番組MC、企画を務める「フリースタイルダンジョン」が放送開始
2017年主宰を務める24時間ヒップホップ専門ラジオ局「WREP」を開局
2022年賞金1,000万円のMCバトル「BATTLE SUMMIT」に出場しベスト4に残る
MCバトルのプロリーグ化「FSL」のオフィシャルチェアマンに就任
Zeebraの年代別・経歴

 

誕生〜少年時代

Zeebraは1971年に東京都港区に生まれました。

自身が2,3歳の時に両親が離婚し、しばらく母子家庭で育ったZeebraは漫画家になることが当時の夢でした。

小学校2年の時に、母親が再婚し苗字が坂倉になり異父弟の弟ができました。弟は後にDef Jam JapanでラッパーとしてデビューするSPHEREです。(当時はSPHERE of INFLUENCE)

そんなZeebraは、音楽番組「ベストヒットUSA」の影響で洋楽を聴くようになります。

マイケル・ジャクソンのムーンウォークを小学校の友達とよく練習しており、友達の中には後にキングギドラを組みCDデビューするDJ OASISもいました。

中学〜高校時代:渋谷のチームに加入しストリートへ

高校生パーティーが流行り出した1980年代中頃、Zeebraは渋谷のチームに加入します。この頃にヒップホップDJにも興味を持つようになりました。

ストリートで毎日のように溜まるようになり六本木のディスコにも通うようになったZeebraは、後にキングギドラを組みCDデビューするKダブシャインと出会います。

しかしストリートでの交流やディスコなどが楽しすぎて、次第に学校には行かなくなってしまったZeebraは、中学はなんとか卒業できたものの、高校は1年生の夏頃に中退しました。

 

NY時代

Zeebraは17歳の時にニューヨークに渡米します。

ヒップホップの本場ニューヨークで毎日カルチャーショックを受けていたZeebraですが、ある日ラジオを聴いていたらホームレスの為のパレードがワシントン・スクエアで開催されるという情報を聞きつけました。

そのパレードで憧れのKRS・ワンとニューヨークの街を歩いた経験が、ヒップホップの文化やパワーに衝撃を受けることになります。

Zeebraは当時、日本でデビューする気はなくヒップホップをやるならアメリカでデビューしたいという思いがあり、この頃初めてリリックを書くことになりますが、歌詞は英語で書いていたようです。

1980年代の当時は、日本語でラップをするというイメージが世間的にもプレイヤー側にもまだ馴染みがありませんでした。

DJ時代

DJプレイをするZeebraの写真
  • ジェイトリップバーでDJを始める
  • 後にキングギドラを組むDJ OASISと「POSITIVE VIBE」を結成
  • 20歳で結婚しその後、2人の息子をもうけるも離婚
  • 当時、オークランドに住んでいたKダブシャインの国際電話での日本語のラップに影響され、日本語でリリックを書くようになる
  • Kダブシャイン、DJ OASISと共にキングギドラを結成する
  • キングギドラの1stアルバム「空からの力」をリリース
  • ヒップホップイベント「さんピンCAMP」に出演
  • キングギドラ活動休止

ニューヨークから帰国したZeebraは、ジェイトリップバーでDJを始め、DJ OASISと「POSITIVE VIBE」を結成します。プライベートでは結婚し2人の息子も生まれました。(後に離婚)

一時期、家族のためにDJを辞めてサラリーマンになりましたが、ヒップホップへの情熱が捨てきれず少しずつ活動を再開していきます。

キングギドラ時代

当時オークランドに住んでいたKダブシャインが国際電話で日本語でのラップを披露し、Zeebraは「これなら日本語でラップをすることも可能なんじゃないか?」と思いました。

1993年、ZeebraはKダブシャインの住んでいるオークランドに行き、お互いに日本語でのラップスキルを高め合います。

そしてZeebraがDJ OASISを紹介する形で繋がった3人は、後に日本語ラップ界の伝説ともなるグループ「キングギドラ」を結成することになります。

1995年、キングギドラが出した1stアルバム「空からの力」は日本語ラップの金字塔として今もなお語り継がれています。

未確認飛行物体接近中(急接近MIX)

 

1996年には、日比谷野外音楽堂で開催された伝説のヒップホップイベント「さんピンCAMP」に出演します。

キングギドラ(さんぴんCAMP)

その後各々のソロデビューの為、キングギドラは活動休止をします。

 

ソロデビュー後

1997年に1stシングル「真っ昼間」でソロでメジャーデビューをし、1998年には1stアルバム「THE RHYME ANIMAL」をリリースしました。

1stアルバム「THE RHYME ANIMAL」は日本語ラップの教科書的作品を作ろうと意識したとのことで、キングギドラではやれなかったパーティーラップや色恋沙汰の入ってくる曲も収録されています。「THE RHYME ANIMAL」は、Zeebra本人が韻を踏むことに対して1番本気になった曲でもあり、まさに日本語ラップの教科書と呼べる作品です。

 

1999年には、Dragon Ashのシングル「Grateful Days」に客演参加。メディア露出も増えていき、Zeebraの「東京生まれヒップホップ育ち」のフレーズは普段ヒップホップを聴かない層にまで浸透しました。

このDragon AshのKjとの共演が後のキングギドラの楽曲「公開処刑」に繋がります。

 

2000年には、ヒップホップの不良性を前面に出した2ndアルバム「BASED ON A TRUE STORY」をリリースし、オリコンチャートで3位を記録、約25万枚を売り上げました。

 

2002年には6年ぶりにキングギドラを再結成。キングギドラの2ndアルバム「最終兵器」もオリコンチャート3位と好成績を記録しました。

そして、アルバムに収録されている楽曲「公開処刑 feat.BOY-KEN」が物議を醸します。この楽曲でZeebraはDragon AshのKjを名指しでDIS(批判)し、KダブシャインはKICK THE CAN CREWやリップスライムを揶揄したラップをしています。

覚醒剤やアメリカ同時多発テロ事件を題材にした楽曲が収録された「最終兵器」はZeebra本人も超問題作と発言しています。

 

プライベートでは、モデルの中林美和と再婚し、2人の娘を儲けることになります。(後の2020年に離婚)

そしてプロデュースユニットFIRSTKLASを結成し、安室奈美恵のプロジェクトであるSUITE CHICでR&Bテイストの楽曲をプロデュース。Zeebraは楽曲の幅を広げ、ヒップホップの様々な側面をアピールするようになります。

 

2003年には、3rdアルバム「TOKYO’S FINEST」をリリース。Zeebra自身の生まれ育った東京の魅力を描いた作品です。R&Bテイストの楽曲も多数収録されており、エキサイティングな東京の魅力が詰まったアルバムです。

 

2006年には原点回帰がテーマの4thアルバム「The New Beginning」2007年には世界に対してアプローチした5thアルバム「World Of Music」をリリースしました。

 

そして活動20周年の節目の年の2008年、日本武道館で20周年記念ライブ「ZEEBRA 20th Anniversary The Live Animal in BUDOKAN」を開催。豪華ゲストが多数出演し、まさにヒップホップ史に残る伝説のステージになりました。

いまだに日本のヒップホップ・シーンのトップに君臨するZeebraは、日本人ラッパーの象徴とも言えるアーティストです。

MCバトルでの活躍

Zeebraは「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」や「フリースタイルダンジョン」の仕掛け人としても活躍し、MCバトルを通じてもヒップホップの文化を盛り上げています。

2022年には、優勝賞金1,000万円のMCバトルイベント「BATTLE SUMMIT」にバトルMCとして出場することが決まり、業界に衝撃を与えました。

関連:【2024】バトルサミットとは?大会のルールや出場者、優勝賞金を徹底解説

バトルでは1回戦「漢 a.k.a GAMI」、2回戦「DOTAMA」という強者を倒し、準決勝(ベスト4)まで勝ち上がりました。準決勝では優勝者となる「Authority」に惜しくも負けましたが、本大会でのZeebraの気合と本気の姿勢は周りのラッパーにも大きな刺激を与えました。

Zeebra vs Authority BATTLE SUMMIT

 

そしてMCバトルのプロリーグ化をコンセプトに立ち上げられたプロジェクト「FSL(フリースタイルリーグ)」のオフィシャルチェアマンにも就任し、新たな取り組みを続けています。

関連:ラップバトルのプロリーグ化を目指すFSLとは?ルールやランキング制度を徹底解説

 

Zeebraのおすすめの曲

Street Dreams

zeebra Street Dreams

4thアルバム「The New Beginning」に収録されているZeebraの代表曲です。

マイクを握り始めた初期衝動から現在に渡るまでのキャリアを総括したリリック(歌詞)となっており、未来へとひた走るZeebra自身の姿を示しています。

日本武道館での20周年記念ライブのアンコールで、涙ながらに歌い感動を生みました。

 

MR.DYNAMITE

MR.DYNAMITE / ZEEBRA【Official Music Video】

2ndアルバム「BASED ON A TRUE STORY」に収録されている日本語ラップを代表する曲。

同じ言葉の羅列で韻を踏むことで、初心者にラップとはどういうことなのかを教えてくれる作品。ヒップホップの不良性を前面に出しており、この曲を聴いてラップに興味を持ったアウトローな人も多いはず。

 

Neva Enuff feat.AKTION

Neva Enuff featuring AKTION / ZEEBRA【Official Music Video】

6thシングルとして発表された「Neva Enuff feat.AKTION」は、北野武監督の映画「BROTHER」にインスパイアされて作られた曲。

「BROTHER」にも出演している真木蔵人AKTION名義で客演しており、曲中では劇中での実際のセリフや銃弾の音がサウンド・エフェクトして引用されています。

オリコンチャートでは10位にランクインしました。

 

真っ昼間

真っ昼間 / ZEEBRA【Official Music Video】

Zeebraの記念すべきソロ・デビュー・シングルです。

中毒性のあるトラックとその場の情景が浮かぶようなリリックが印象的な楽曲。夏にチルしながら聴くのがおすすめです。

 

Jackin’ 4 Beats

Zeebra / Jackin’ 4 Beats【Official Music Video】

20周年記念ベストアルバム「The Anthology」に収録されている曲。

共に日本のヒップホップを盛り上げてきた盟友の楽曲のトラックを10曲サンプリングし、8小説ずつ繋ぎ1曲にした楽曲です。各曲のパンチラインも巧みに引用し差し替えるという、日本語ラップ巧者のZeebraにしかできないラップを聴くことができます。

まとめ

今回はZeebraのプロフィールや経歴、おすすめの曲をZeebraの人生を振り返りながら解説しました。

まだ日本にヒップホップが根付いていない頃からキャリアをスタートさせたZeebraは、アメリカの文化であるヒップホップを日本に広めることを常に意識してきました。

 

自身が仕掛け人として関わった「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」で発掘したT-PablowYZERRが先日、BAD HOPとして東京ドーム公演を成功させます。

» BADHOPの解散ライブを徹底解説!ラッパー史上初の東京ドーム公演の詳細

 

ZeebraはT-Pablowとの楽曲「Empire Of The Sun feat.T-Pablow&Zeebra」では「俺と仲間が見てた夢の続きをお前と仲間で見せてくれてありがとう」とラップしました。

 

数々の功績を残してきたZeebraは、間違いなく今の日本のヒップホップシーンを築き上げてきてた立役者であり、今後も下の世代のラッパー達にDNAは受け継がれていくでしょう。

 

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気になるバトルがあればぜひチェックしてみてください。

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この記事を書いた人

ヒプラガのアバター ヒプラガ ライター/ブロガー

大阪出身のブロガー。小学生の頃にレゲエにハマり、レゲエの音楽を20年以上聴いています。レゲエDeeJayがMCバトルに出場したのをきっかけに、ヒップホップも聴くようになりました。
ヒップホップやレゲエの音楽・文化をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、ヒップホップやレゲエに関する情報を発信しています。

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